1. 美容成分の新星 – グラナクティブレチノイドの登場
グラナクティブレチノイドの基本情報
グラナクティブレチノイドは、美容業界において革命的な存在となっています。
原料の正式名称は「Granactive Retinoid®」で「グラナクティブレチノイド」や「グランアクティブレチノイド」と呼ばれています。有効成分の日本語表示名称は「レチノイン酸ヒドロキシピナコロン」、US INCI名は「Hydroxypinacolone Retinoate」です。先進的な研究を行う米国GRANT INDUSTRIES社が開発した次世代型のレチノイドです。この成分は、通常のレチノイドと比べて低刺激性と製剤中での安定性を誇り、過去に他のレチノイド配合製品を使用して肌に合わなかった方や、レチノイド製品を使用することが怖いと感じている方にもお使い頂ける成分として期待されています。
なぜこの成分が注目されているのか?
近年、多くの方がレチノイドを含む美容成分に注目していますが、通常のレチノイドは使用者に刺激を与えることがあり、これが美容製品の利用において課題となっていました。そこで、米国GRANT INDUSTRIES社はこの課題に応えるべく、グラナクティブレチノイドを開発しました。この成分は、高い安定性と低刺激性を実現し、肌への優しさと効果の両立を実現しています。そのため、美容愛好者や専門家たちから注目を集め、多くのブランドがこの成分を採用しています。
2. グラナクティブレチノイドとLov me Touchとの出会い
新たなレチノールの発見
株式会社NIKUのLov me Touch(ラブミータッチ)シリーズの開発者であり、形成外科医の上原恵理医師(以下、上原医師)は、長年にわたりレチノール原料(以下、ビタミンA原料)配合製品の肌刺激低減という難題に取り組んでいましたが、解決策が見つからない日々が続いていました。ある日、アメリカで開催された国際皮膚科学調査会議で発表された新規ビタミンA原料と運命的な出会いを果たします。 その新しいビタミンA原料は、肌刺激の少ない革新的な原料であり、まさに長年の課題に立ち向かう解決策となる可能性を秘めていました。その瞬間、上原医師はこの革新的な原料を駆使し、肌への優しさと効果を兼ね備えた全く新しい製品を開発することを決意しました。
着想後、すぐに開発をスタートさせた上原医師でしたが、早々に壁に直面します。国際皮膚科学調査会で発表された原料はグローバルでも最新の情報であったため、日本で取り扱っている原料会社を見つけられなかったのです。そのため、上原医師は自ら海外のメーカーに問い合せ、アメリカの某原料メーカーがこの革新的なビタミンA原料を化粧品原料として製造している情報にたどり着くのです。それこそが、グラナクティブレチノイド原料だったのです。
Lov me Touch グラナクティブレチノイドシリーズの完成
グラナクティブレチノイド原料を入手した上原医師は、急いで化粧品への応用研究にとりかかります。革新的なグラナクティブレチノイド原料のすばらしさを、より多くの方々に届けたいという強い思いから、ビタミンA初心者から上級者まで広いニーズに対応できる商品ラインナップを着想します。
肌は季節や体調、個々人がもつ肌個性などにより、同じ個人でもニーズは変化します。お客さま一人ひとりの今によりそえる商品ラインナップとして、2%[3]、5%[4]、7%[5]、10%[6]という4段階での濃度を選べるグラナクティブレチノイドシリーズは開発されました。濃度の異なる商品が用意されていることで、ビタミンA初心者は低濃度からスタートし、段階的に濃度を上げていくことができます。最高濃度10%の商品は医療専売品となっており、ビタミンA上級者の要望にも応えることができます。また、体調や環境により変化する、今の自分の肌に最適な濃度を使い分けることもできます。あらゆる肌のニーズに対応し、個々の美しさを引き立てるためのカスタマイズコスメ、グラナクティブレチノイドシリーズが完成したのです。 上原医師の情熱と共に、美しさへの新たな一歩をサポートすることで、多くの人々の心に感動を届けています。
3. 進化型レチノイドの“すごさ”の秘密低
ここからは、多くの人に愛されるグラナクティブレチノイドの秘密を紐解いていきましょう。
レチノイドの作用機序
ビタミンA原料の作用は、レチノイド受容体(RAR受容体とRXR受容体)に結合することによって引き起こされます。一般的なビタミンA原料が引き起こす刺激は、RXR受容体との結合が主な原因とされており、グラナクティブレチノイドはこのRXR受容体に結合せず、RAR受容体にのみ結合するため、刺激を最小限に抑えつつ、効果的な美容効果をもたらす効果があるという説があります[2]。RAR受容体と結合すると、多くの生物学的役割に対する反応を制御すると言われています。例えばスキンケアでは、老化の兆候に逆らうよう、年齢を感じさせない生物学的プロセスを刺激します。
一般的なビタミンA原料との違い
グラナクティブレチノイドが一般的なビタミンA原料と異なるのは、高い安定性と低刺激性にあります[7]。
50℃下での製剤中安定性試験において、グラナクティブレチノイドは一般的なビタミンA原料に比べ約10倍という高い安定性を示しました[2]。この結果は、製品が長期間にわたって安定して有効な成分を提供できることを示しています。これにより、製品の効果を一貫して実感でき、持続的な美容ケアが可能な商品の開発可能性を示唆しています。
また、温度安定性以外に刺激性、作用型、効果を加え、4種の性能について、他のレチノール系原料とグラナクティブレチノイドの比較を表にまとめました。グラナクティブレチノイドは4種の性能全てにおいて最も良い性能をもつ理想的な原料であることがわかります。
刺激性 – 皮膚への優しさを実感
一般的なビタミンA原料は、皮膚の赤みや炎症の兆候があることからA反応などの皮膚刺激があるが判明しています。一方、グラナクティブレチノイドは、市販されている一般的なビタミンA原料と比較して、低い刺激性を示すことが特徴です。
24時間閉塞パッチテストの結果
グラナクティブレチノイドの低刺激性は、様々なテストによって確認されています。24時間閉塞パッチテストでは、一般的なビタミンA原料と比較して有意に低い刺激性を示しました[2]。これは、通常のレチノイドが肌に刺激を与える可能性があるのに対し、グラナクティブレチノイドは肌への優しさが示された結果となります。
HRIPT、21日間累積刺激性臨床試験の結果
さらに、HRIPTや21日間の累積刺激性臨床試験においても、グラナクティブレチノイドは刺激性がほとんど認められなかったという結果が得られました[2]。これは、敏感な肌を持つ人々にもレチノイド製品をご使用いただけるチャンスを示しており、幅広い肌タイプに対応できる可能性を示唆しています。低刺激性ながら高い美容効果をもたらすことで、多くの使用者に支持されています。
4. 安全性の確認 – グラナクティブレチノイドの光毒性試験
光毒性なしという結果の意義
グラナクティブレチノイドは光毒性試験においても安全性が確認されています[2]。光毒性がないことは、この成分が日中の紫外線に対して敏感ではなく、一般的なレチノイドに比べ製品化の際の使用用途の幅が広がることを示唆しています。
6. 安定性の秘密 – グラナクティブレチノイドの高温安定性
高温でも安定している理由
グラナクティブレチノイドが高温でも安定している理由は、エステル結合という分子構造のためです。一方、一般的なビタミンA原料は高温にさらされると不安定になりやすいです。この高い安定性は、製品の品質と効果を保つ上で重要な要素となっています。
製剤中での残存レチノイド量の詳細
持続的な製品効果を提供するためには、時間が経過しても安定的に製剤中の有効成分が残存していることは重要な要素です。製剤中の経時安定性を知るため、異なる温度環境下で放置後の製剤中残存レチノイド量を測定した。その結果、グラナクティブレチノイドの高い安定性が示されました[2]。製品が長期間にわたって持続的かつ一貫した効果実感を提供できることが示唆されました。
引用
[1] https://www.grantinc.com/products/active-series/ret-vitamin-a-delivery/
[2] IMCDジャパン合同会社提供Granactive Retinoid®資料
[3] https://dr-beautopia.com/products/20094-011/
[4] https://dr-beautopia.com/products/20094-012/
レファレンス
[7] Žane Temova Rakuša et al. Retinoid stability and degradation kinetics in commercial cosmetic products. J Cosmet Dermatol. 2021 Jul;20(7):2350-2358.